2024年04月18日

ルイス・ウェインの猫人生 その壱

先日『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』という2021年の映画を見ました

ルイス・ウェインは、ヴィクトリア朝イングランド後期に生まれた画家で

擬人化した猫のイラストを描いて人気があったのだそう

今回 初めて知りました

ルイス・ウェインの猫人生 その壱

原題はThe Electrical Life of Louis Wain で

「電気」とウェインの創作を結び付けて 

ちょっと寓話風に語っているのですが

日本での紹介は 邦題に「生涯愛した妻とネコ」とあるように

「身分違い」の妻への純愛を強調しています

以下は映画の公式HPからの引用

「イギリスの上流階級に生まれ、父亡きあと一家を支えるためにイラストレーターとして活躍するルイス。妹の家庭教師エミリーと恋におちた彼は、大反対する周囲の声を押し切り結婚する」https://louis-wain.jp/

映画を見ていても 伝記を調べていても気になったのですが

ウェイン家は「上流階級」ではありません

お父さんは貿易商 お母さんはもとは教会の刺繍をつくる「職人」さんでした

妹のために 住みこみの家庭教師「ガヴァネス」を雇おうとするなど

父親が生きていたころは けっこう羽振りがよかったのかもしれませんが

「中流階級」です

ウェインとエミリーの結婚が反対されたのは

ガヴァネスという「階級の低い」使用人と結婚するというスキャンダルのせいではありません

そもそも ガヴァネスは良家の子女に フランス語やピアノ 絵なども教えるため

自分自身が教養をもっていなければならず 

たいていはウェイン家のように働き手の父親を失った中流階級の未婚のお嬢さんが

周囲から白い目で見られない仕事として選ぶのです

場所はアメリカですが『若草物語』のメグは 父親が従軍牧師で不在のため

一家を支えようとガヴァネスをしています

ジョーは大金持ちの大伯母のところで老人の話し相手を務める「コンパニオン」をしています

でもメグなりジョーが 金持ちのローリーと結婚したとしてもスキャンダルにはなりません 

どちらも ちゃんとした中流階級の家の出身だからです

話を戻して 周囲がエミリーとの結婚に反対したのは

彼女が10歳も年上だったこと

そして ウェインが資産家の娘と結婚して財産を得るという望みがなくなってしまうからに違いありません

ちなみに 一家はカトリックだったそうで もしかしたらエミリーはプロテスタントだったのかもしれませんね

さて1880年に父親が死亡し ウェインは20歳で一家の大黒柱になります

(妹たちが5人 お母さんを加え 6人の女たちを養うのですぅ)

雑誌のイラストレーターとして 生計を立てていたウェインがブレイクするのは

『イラストレイティッド・ロンドン・ニューズ』の1886年クリスマス号

『イラストレイティッド・ロンドン・ニューズ』は その名のとおりイラストが売り物の週刊新聞で 

イラストのクオリティの高さでも知られていました

ウェイン描く150匹の猫が登場する「子猫のクリスマス・パーティー」は

見開き2頁を使って掲載されました さぞかし目を引いたことでしょう

ルイス・ウェインの猫人生 その壱


さて 長くなったので

ウェインが そもそも なぜ猫を描くようになったのかについては

次号をお楽しみに






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Posted by 猫娘。 at 11:11│Comments(2)のんちく
この記事へのコメント
おお、おもしろそうなお話!!
続きをお待ちしておりまする~~

映画どこで見られるん?
Posted by sumikko at 2024年04月18日 23:49
映画はWOWWOWオンデマンドで見ました
Posted by 猫娘。猫娘。 at 2024年04月19日 10:13
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