2022年04月04日
ベジャミン・バニーのお話(続き)
でもベンジャミンは すっかりくつろいでいて
レタスの葉っぱをほおばっていました
ベンジャミンが言うには お父さんと一緒に畑に来ては
日曜のディナー用にレタスをとっているんだそう
(ちなみにベンジャミンJrのパパの名前も ベンジャミン・バニーでした)
ここのレタスは実際とても美味でした
レタスの絵をみて あれっと思いました
日本でレタスというと 丸くて 冷蔵庫のなかでしか生きられそうにないきゃしゃな子
でも ベンジャミンがムシャムシャいるのは
野外育ちで 丈がウサギさんほどある細長いやつ
気になって調べたら イギリスで主に育てられているのはロメインレタス
(英語ではコス・レタス)なんだそう
日本でサラダに使うのは
あちらでは「アイスバーグ」とか「クリスプヘッド」と呼ぶらしい
またまたボタニカル・アートでロメインレタスを探してみました
19世紀のフランスの画家・版画家アドルフ・ミロの絵です
ピーターは一口も食べません
家に帰りたいようと 言っているうちに
あらあら 玉ねぎを半分おっこどしてしまいました
ベンジャミンJrが言いました
梨の木を登って戻るのは無理
荷物が重すぎるからね
ベンジャミンは大胆にも農場の反対側へと向かっていきました
二匹は板の上を通って
お日様をあびた赤いレンガ塀の下を進みました
ネズミたちが戸口で サクランボの種をカリカリかじっていました
ネズミたちはピーター・ラビットとベンジャミン・バニーJrにウィンクしました
とたんに ピーターがまたハンカチのはしを放してしまいました
二匹は植木鉢やら枠材やら桶の間に入り込みました
ピーターの耳にぞっとするような音が聞こえました
ピーターの目はぺろぺろキャンディのようにまん丸になりました
ピーターはいとこの一、二歩先にいましたが あわてて立ち止まりました
子ウサギたちが 角の向こうに見たものは…
ベンジャミンJrは一目見るなり
ものの30秒もたたぬうちにピーターと玉ねぎを引っ張って
大きなバスケットの下にもぐりこみましした
猫は起き上がり 伸びをすると
近づいてきてバスケットをクンクンかぎました
玉ねぎのにおいが好きだったのかもしれません!
ともあれ 猫はバスケットの上にすわってしまいました
なんと ずっとすわっていたんです 5時間もの間
*****
バスケットの下にいるピーターとベンジャミンの絵は描いてあげられません
なにしろ真っ暗ですから
玉ねぎのにおいは強烈で
ピーター・ラビットとベンジャミンJrは涙が出てたまりませんでした
お日様が森の向こうに回って すっかり夕暮れ時になっていました
でも猫はバスケットの上にすわったままです
この猫を描くためにビアトリクス・ポッターは
サー・J・ヴォーンという元判事さんから猫を借りてきたんだそう
飼い主は しかし 挿絵に満足していなかったらしい
自分の猫のしっぽは本当はもっとふさふさなんだと
出版社に伝えてほしいと言ってきたとかで
ポターの「ウサギ本」の担当で後に婚約するノーマン・ウォーンに宛てて
サー・ヴォーンはよぼよぼで、本が出るまでもたないんじゃないかしら、などと書いています
皮肉なことにノーマンは出版の翌年夏に亡くなってしまうのですが
そのうち ようやくピッタパッタ ピッタパッタと音がして
壁から しっくいがパラパラと落ちてきました
猫が見上げるとベンジャミン・バニー氏が
上にあるテラスの壁の上を威厳たっぷり歩いています
ラビット・タバコをつめたパイプをふかし 手には小枝をもっています
息子を探しに来たのでした
バニー氏は猫など屁とも思っていませんでした
壁の上から 猫の上へと大ジャンプ
猫に一発 バスケットからすっ飛ばし 温室に蹴りこむと
一引っかき 毛をむしってやりました
猫はびっくり仰天 引っかき返すこともできません
バニー氏は猫を温室に追いやるとドアにカギをかけました
そしてバスケットのところに戻ってきて
息子のベンジャミンの耳をつかんで引っ張り出し
小枝でたたきました
次に甥のピーターを引っ張り出しました
それから玉ねぎの入ったハンカチの包みをもつと
意気揚々と農園を後にしたのです
マクレガーさんが戻ってきたのは30分ばかり後のこと
いくつかおかしいことに気づいて首をかしげました
誰かが木靴をはいて農園中を歩き回ったようです
でも足跡が うそでしょう というくらい小さいのです!
それにどうしてもわからないのは
どうやって猫は自分で温室のなかに入ったあと
外からカギをかけたんでしょう
ピーターが家に戻ると、お母さんは許してくれました
靴と上着を見つけてきたからです
コットン・テイルとピーターはハンカチをたたみました
ミセス・ラビットは玉ねぎをひもでつるし 台所の天井にぶら下げました
ハーブとラビット・タバコのおとなりに
おしまい
ピーターの靴と上着が戻ったのにママも一安心
なにせ大月家もびっくりの子だくさん
稼ぎ手の旦那さんもいないのですから
ベンジャミン・バニー家も今夜はレタスのディナーで
よかったですね
Posted by 猫娘。 at 16:01│Comments(0)
│のんのん読書日記